竜温「総斥排仏弁」第16・17回史料精読討論要旨

今回の輪読箇所は、正司考祺における仏教護法思想側からの批判を展開した箇所であった。質疑では訳文の検討がなされ、その上で、幕末における東本願寺教団の政治的位置について、質問が行われた。また、今回の輪読箇所を読む限りでは、浄土真宗側が、なぜ日蓮宗と並列的に扱われることを極度に意識するのか。竜温において、儒者たちによる「経世論」への反駁としては、議論に齟齬があるようにも見え、その意味で当時の仏教界内部でも僧侶による社会的な問題行為については、反論できない事情もあったのではないか、という質疑もなされた。次回も同じような箇所なので、引き続き議論を深めていきたい。

文責:岩根卓史