竜温「総斥排仏弁」第15回精読討論要旨

今回の箇所は、正司考祺の「経済問答秘録」の浄土真宗批判を引用しながら、竜温が論駁を加える内容だった。討論では、近世期における東西本願寺の分裂の経緯や、幕末期における東本願寺教団の政治的立場、報告者が先行研究を踏まえた考察などに関して、活発な討論が行われた。とりわけ、「護法思想」をめぐる問題は、未だに検討余地が多く、とりわけ明治維新の宗教史研究が、主に「廃仏毀釈運動」を主題としていたこともあり、幕末期の「護法思想」についての歴史的考察は手薄な印象が持たれてしまい、このような研究状況も含めながら、「護法思想」についていかに再考すればいいのか、ということも質疑がなされた。

文責:岩根卓史