竜温「総斥排仏弁」史料精読第七回討論要旨

参加者は四名。報告では、訳文を示したうえで、東本願寺における子弟育成機関であった、高倉学寮について、考察を行った。質疑では、テクストの表現として出てくる「神国」や「国王」などの解釈の妥当性について質問がなされた。報告者は、「意訳」をしないと、テクストでの主張そのものが見えないと断ったうえで、仏法に有縁があるからこそ、神も存在する国、という本地垂迹的な意味合いで述べているのではないか、と答えた。また、徳川家康を「国王」とする見方は、知識人層に共有されていた認識だったのか、ということも議題に上がった。また、宣長をめぐる同時代における認識についても再検討する必要があるということも質疑がなされた。最後に高倉学寮と護法場との事実関係についても討論がなされ、本日の読書会での質疑を終えた。

文責:岩根卓史