【史料精読】竜温「総斥排仏弁」第二回(討論要旨)

今回の報告での質疑では、まず、訳文に関する用語や書名に関する事実関係の確認が行われた。本テクストで言及されている「儒者」とは誰のことを指しているのか。また、本テクストの性格を示す「護法=護国」思想を、従来の研究史で指摘されるように、そのまま明治仏教ナショナリズムの淵源として考えられるかどうか、という論点についても質疑がなされた。今回の輪読箇所の大きな論点は、キリスト教批判と峻別したうえで、地動説批判が行われていることである。率直な疑問として羅列すれば、なぜ地動説批判が「護法」論として必要だったのか、また浄土真宗以外の宗派に属した僧侶による須弥山説擁護論はあったのか、それとも須弥山説擁護論は浄土真宗の問題だったのか、という問題である。しかしながら、以上の疑問は、輪読箇所では深く言及されていない。ゆえに、テクストだけでは考察できない力学関係も加味した検討作業が必要という質疑が行われ、今回の読書会は閉じられた。