荷田春満「創学校啓」史料精読(第三回)

参加者は三名(岩根・田中・松川)。まずは二人が史料精読の報告を行い、休憩した後、補論報告を行った。史料精読に関しては、反語の意味の解釈をめぐり文意が通っているかどうかの質問がなされた。またテクストの読解に関して、中国古典の文章の出典とその意味についての質問があり、大系本での頭注が正確さを欠いている箇所もあったため、史料を精読する際は、改めて自らの手で調べ直す必要があることを互いに確認しあった。さらに補論報告では近世稲荷社を主題に置き、荷田春満の思想史としての位置づけに関して、再考する余地があること提示したものだった。「創学校啓」は、分量として比較的短い内容のテクストではあるが、各々の関心に引き付けて考えれば、様々なことを言える史料だったということは、参加者の間で一致した意見であろう。「創学校啓」史料精読は、ひとまず区切りを入れ、次回は各自の関心による研究書の書評を報告することを確認し、今回の研究会は終了した。

(文責:岩根卓史)