荷田春満「創学校啓」史料精読(第二回)

参加者は三名(岩根・松川・田中)。今回の報告では引き続き史料を意訳し、加えて論点の提示と分析を行った。意訳の部分の指摘については、とりわけ荷田春満が批判する「神道家」とは具体的にどのような人々を指しているのか、という質問が出た。報告者の私見として、おそらく広義の意味で、辻講釈をしている「民間宗教者」のことを指しているのではないか、と回答した。

また、近世前期における儒学者山崎闇斎林羅山など)には「排仏論」的色彩があるが、近世における神職は、「仏教」に対してどのようなスタンスを取っていたのか、という質問も出された。それと関連して儒学を論理的根拠にしながら、「神道」を正当化するようなロジックは、一般的だったのか、という疑問も受けた。

報告者は今後の課題として、近世における神職の身分的地位や、伏見稲荷社の社会的地位と信仰の位相については、別途、補論を行う余地があり、改めて考察を試みたいと述べるに留めた。

今回の読書会は、諸般の都合により、十分な時間が取れなかったとはいえ、指摘を受けた論点自体は、改めて質疑をする必要があり、短い時間ながらも意義のあるものだったと思われる。

(文責 岩根卓史)